今日は落ち着きがなかった
それもそのはず件の彼に逢うからだ
久しく逢っていなかったので
期待もあったが不安の方が大きかった
つまりは病気のことを話さなければいかない訳で
拒否されることが恐ろしかった
再会を心から喜べる状況ではなかった
6〜7時に着くと言われていた
準備は当の昔に済んでおり後は出掛けるまで
でもまだ早い
何かで時間を潰そうとするけど何をやっても落ち着かなかった
結局彼が着いたのは7時半
近くのコンビニにいた
外からチラッと盗み見をして少しホッとした
外見は変わりないから
そしてそそくさとお店に入り彼を呼んだ
彼はわたしを見た瞬間「おぉ!」と言った
このリアクションはどう取ればいいんだろう
とりあえず車に乗った(勿論彼のです)
マニュアル車だし…(わたしAT限定だし)
とりあえず飯を食おうと言うことで彼がジョナサンかガストを選んだので
そこまでナビ
でも車で行ったことないから駐車場が判らず
何かそのままいろんな道に入り込み
「わたしはこのまま何処に連れてかれるんだろう」と言ってやった
そしたら彼は笑った
そしてガストへin
「…で?」
そういう彼にどこから話せばいいのか判らないでいた
なので一生懸命話したつもりなんだけど意味は判らなかったかも
でも理由やそこらは話さなかった
彼が聞いても仕方ないと言ったから
今の状態とかそれくらい
で、結論
「俺は頑張れとしか言えない」
そりゃそうだろうね
でも頑張れって言葉結構自分としては痛い言葉なんだ
それを言ったら
「でも自分でどうにかしなくちゃならないことだろ?」と言われた
もっともだと思うよ
それが出来ないから苦しんでるんだけどね
もう何も言うまいと思った
でも医者が言った頑張れと彼の言った頑張れは違う風に聞こえた
医者は医者としていっていいことと悪いことがある
この類の病気を持っている人は「頑張れ」と言われることを嫌う
それを専門医が言うことはもってのほかだという人もいる
それに対して彼は専門家でもないし寧ろかなりのド素人だ
彼は一言で言えば他人に厳しいが自分にも厳しい人だと思う
だからイヤに納得できてしまった感じがある
悔しいけど言ってることは向こうが正しい訳だし
いくら辛さを説明しても仕方ない
別に同情されたい訳ではないから
話は変わって「わたしの家はお金持ち」疑惑が何故か浮上して
いや、祖父が死んでからの話をしたからなんだけど
家を見てみたいと言うからガストを後にし我が家へ
結果「金持ちじゃん!」だそうだ
自分では全く持ってそう思わないのだが
彼曰く「応接間があること自体そうだ」らしい
そうなのか?
自分自身お金が全くないので実感がないが
で、その応接間でちょっと話した
彼は彼女には甘いことも吐くがわたしには吐かないと言った
でもこの人が甘い言葉を吐くところが想像つかなかったわたしは
「甘い言葉吐くの見てみたい」と言ってみた
実際そのせいでか何でかは判らないが
最終的には甘々な空気になっていた
「キスでもするか?」と言われたので
「マジで!?」と言いながら顔をソファーに埋めてみた
ふと彼の手を見て綺麗な手だなぁ〜と思った
それはよく言われることらしくて「何もしてない手」だと言われるらしい
指がスラッと長くてしなやかな感じ
そんな手で人を殴ったことがあるのだからすごい
思わず凝視してみてしまった…手フェチなのかな?
「わたしは手小さいんだよね」
そう言ったら手を重ねてきた
そしてえっ!?って顔をしてびっくりしてた
もう一度ちゃんと合わさってるか確認してるんだもん
思わず笑っちゃったよ
でも彼がびっくりするのも当然かも知れない
彼とわたしの手の大きさの差は2cmは軽くあったから
わたしもまさかこんなに差があるとは思わなかったけど
彼はその手でわたしの頭を撫でた
肩をさすった
「もう死のうとするな」と言って額と額を重ねた
「…うん」と小さく頷いた
そしてキスをした
抱き合って彼の鼓動を聞いた
ドキドキ言ってた
「顔あげて」って言われてあげたらまたキスをした
胸が苦しかった
すごく痛かった
わたしはその場に座り込んでしまった
そしたらこっちおいでと言うように彼はソファーをトントンと軽く叩いた
きっと情けない顔をしていたと思う
こんなにまで胸が苦しくなって痛くなったのははじめてで
自分でもどうしていいのか判らなくなっていた
そして彼の隣に座った
そしてまた彼はわたしの肩を抱いてくれた
そしてわたしの醜い顔を「綺麗だ」と言ってくれた
いつもなら即座に「そんなことない」って言うのだけど
この時は言えなかった
さすがに綺麗と言われたことはないので戸惑ってしまった
「ノーメイクでもいいじゃん」と言いながら
彼はアイシャドーを指ですくい取った
「今度逢うときはノーメイクで」と約束されてしまった
でも濃くしないまでも下地はちゃんとしよう
そうでないと顔色悪く見えるから
「俺も頑張るからオマエも頑張れ」
そう、これは彼なりのエールだった
それを痛いほど判っていた
だから危惧していたんだ
きっとこの人を好きになってしまうんじゃないかと思っていたから
この一連の動作は友達としてやっとこと
それをわたしはちゃんと理解しているつもり
でもハマッてしまった
だから逢いたくなかったのに…自分がどうなるかくらい判っていたから
夜も遅くなったので彼は帰ると言って席を立った
もう一度「頑張れよ」「死ぬなよ」と繰り返した
玄関の扉を閉めかけては止まって何度も繰り返し言った
それが何だか優しく思えた
そして笑えた(いや、ホントに面白かったのだ)
この日の夜はもうドキドキが止まらなかった
そしてまんまとハマッてしまった自分に苦笑いをした
でもココロが満たされていくのが判ったのが正直なところ

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前まで気にしていた彼の君は何処へやらって感じですね
つまりわたしは単純だと言うことが判明されました

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